2009年5月27日
クラウドコンピューティング関連の講演。いかがでしたでしょうか。今回は諸般の状況で抑えめな話として、物議を醸し出すような暴露話はなし。もちろん個人的には欲求不満気味ですがね。さて大きな会場という話でしたが、申し込み開始してすぐに満員になったとか。たしかに大勢の方が来られていました。当方の講演が最初で、次にMicrosoftの方が講演されたのですが、エンタープライズ用アプリのオンライン版の話が中心。というわけでAzureの話はなしでした。あとで理由を伺ったらAzureはまだ先という回答。たしかにそうかもしれません。そのあとはIBMの方だったのですが、お恥ずかしながらIBMのプライベートクラウドの講演を拝聴したのははじめて。プライベートクラウドのプレゼンはたいへんそう。結局、当方もチンプンカンプンでした。
ついでなので、もう一つクラウドコンピューティングのネタ。5月16日にクラウドコンピューティングがイノベーションになれるか否かはPaaSが伸びるか否かにかかっていると書いたのですが、会場でその理由を聞かれたので、ここでも補足をしておきます。さてその理由は課金。クラウドコンピューティングが伸びるか否かは、クラウドインフラの出来不出来よりも、クラウドから提供されるサービス次第。魅力のあるサービスを増やすためにはサードパーティがサービスを開発して、それをクラウドインフラ上で、不特定に提供することが不可欠ですが、現状ではそれが難しい。
クラウドコンピューティングは基本的なコンセプトは処理やデータを使いたいときに使った分だけ支払えばいいということになっています。実際、AmazonやGoogle、Microsoftなどのクラウドインフラ自体は従量制課金を想定しています。しかし、インフラ上で提供されるサービスについては課金メカニズムが未整備。クラウドコンピューティングのコンセプトからいえば、サービスについても使いたいときに使った分だけ支払う、つまり従量制課金になるべきです。しかし、ユーザ別のサービスの利用状況などをインフラ側の手助けなしに調べることはほとんど不可能でしょう。つまり、サードパーティがサービスを開発して、他者にそのサービスを提供しても、従量制で収入をえることはできません。このため広告収入や月額契約のようにクラウドコンピューティングのコンセプトに反した方法に頼るしかありません。
さてなぜIaaS/HaaSではなくてPaaSに期待しているかというと、IaaSではインフラが提供しているのは仮想マシンレベル。サードパーティがIaaS上でサービスを提供するときは、OSやミドルウェアを動かし、その上でサービスを実現するアプリケーションを実行することになります。このためサードパーティが課金メカニズムについても面倒をみないといけません。ご存知のように課金メカニズムは複雑なので、それをサードパーティが実現するのは難しい。一方、PaaSの場合はクラウドインフラが直接、サービスを実行するアプリケーションを実行して、ユーザと接続をします。このためユーザの識別やサービス利用時間などを正確に捕捉できます。また、クラウドインフラ提供事業者は、ユーザに対するインフラ利用料請求に、そのインフラで提供されるサービスの従量課金請求もできることになります。その点では上述のWindows Azureは結構期待しています。Google App EngineはGoogle自体が広告収入をベースにしているので、課金処理は得意ではないと推測しています。
もちろんIaaSでも便利な課金メカニズムが登場するかもしれませんが、いずれにしてもサービスに対する従量課金メカニズムが整備されない限り、サードパーティから魅力のあるサービスが提供されず、クラウドコンピューティングは普及しないということになると予測しています。その意味ではiTunesはサードパーティのソフトウェア販売を代行することで、サードパーティは容易にソフトウェアから収入が得られるようになっており、それがサードパーティとそのサービスの増加につながっています。クラウドコンピューティングもサービスの利用料金の課金はインフラに任した方がいいです。
(1 note)